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泰義の妻

泰義の妻ヤスコは最初は気立ての良い人だった。常識もわきまえていた様に思う。今思えば、泰義に惹かれての結婚だったのだろう。本当に可愛い新婚さんだった。 生家の状況を知るようになって、ヤスコは徐々に生家と距離を置くようになった。泰義は聡明だから早々と寅雄から離れていたことも、客観的に物を見ることができた要因だったろう。生家の人間のある意味でのだらしなさ・ふがいなさは、所謂親戚付き合いを躊躇わせるに十分だった。 まともな職業についているのは、手に職をもった泰義一人だったから。敏夫はごろごろしていて漸く結婚式とか家族のイベントの写真とかビデオとかを撮影して編集して納める仕事をするようになったが、安定した仕事ではない。 政行も結局定職が身に付かず、遂には敏夫の手伝いに納まっている。 英雄は学歴は無くても頑張りで普通にサラリーマンに近いことをやっていたが、転職に失敗して、挙句借金までこさえて、失踪の憂き目に遭っている。 寅雄は耳の遠いことも手伝って、それに言葉が立つわけでもなく、人前に出しにくい状況。子供らがそういう扱いをしていることの方が問題で、けさをが見たら悲しむだろう。 美枝子は常識は持ち合わせているが、結局家族のために結婚もしないで時を過ごしすぎた。 こういう連中を親戚縁者の集まりに呼ぶのは、人間が小さいヤスコには耐えられなかったのだろう。

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